忌明けから一周忌まで。そしてそれ以後、法要という形で、死者、および先祖を供養することになります。仏壇へのお参り、墓参り、そして法事。そのなかで、知っておきたいこと、知らないといけないこと。また、これだけはやっておきたいことを列挙しました。
日常の供養と作法としきたり
◆ろうそくのあげ方、消し方
なぜ仏前にろうそくをともすのか。それには二つの説があります。ろうそくの明るさが「仏の智慧」を象徴しているからという説と、ろうそくがロウを溶かしながら火をともすところから「人生の無常」を表しているという説があります。
火をともす時は、マッチを用いるか、仏壇専用の火つけで点火します。ライターの火を使うのは危険です。火を消す時は、決して吹いて消してはいけません。神聖な仏壇の前で、生臭い息を吹きかけるのは無作法です。ろうそくの火を消す時は、手であおいで消します。
◆線香のあげ方
ろうそくに火をともした後、そのろうそくの火で線香に火をつけます。線香の数を何本にするかは、焼香の場合と同じように考えていただければいいでしょう。天台宗や真書宗は、仏・法・僧に捧げるという意味で焼香は三回。ですから線香も三本です。浄土真宗は折って横に置くのがしきたりになっています。
◆数珠の持ち方
数珠の持ち方は宗派によって異なりますが、墓本的に両手を合わせ、房が下に来るように、指と指の問にかけます。その時、両腕はきちんと両わきにつけ、両手をあまり前方に出さないようにします。
◆供花のマナー
仏壇に花を添えるのは美しい色や形の花で、仏の世界をさらに高めようとする意図があります。新鮮な切り立ての花を備えることはもちろんですが、こまめに水を変え、花を長く美しい状態に保てるようにしたいものです。大型仏壇の場合、上卓といって供花や灯明の合が二段になっていることがあります。この場合は、上の花立てには、しきみなどの青い葉のものを立て、下の花立てには、色のある花を立てます。また、五具足の時の花立てが両側にある場合は、花のしつらえを左石同じにします。
法事に招かれた時
◆案内状を受け取つたら
法事の通知を受けたら、すみやかに返事を出します。出席する場合はその旨の返事を出します。できれば一言添えて返事を出すといいでしょう。出席できない時は、早めに欠席の旨を伝えます。同時に遺族の近況を訪ね、励ます内容の手紙を出します。法事が三回忌までの時は、香や花などの供物、もしくは供物料・御花料を届けます。
◆招かれた時の服装
略式喪服かまたは地味な外出着が一般的です。七回忌以後の法要であれば、それ以前よりもう少し軽い服装でもいいといわれています。気をつけたいのは、間違っても正式な喪服を着用して出席しないこと。施主側が因ります。(施主側は、招かれた側より軽い服装をしてはいけないことになっている)
◆招かれた側のマナー
時間に遅れないこと。二〜三十分の宗裕を持って会場へ行き、施主にあいさつをします。あいさつがすむと仏壇に焼香。焼香がすむと法要の開始まで所定の場所で待機します。法事の運中での退座はいけません。きちんと散会までつとめましょう。
法事に招かれた際には、供物を持参するのが普通です。生花、菓子、果物、線香などですが、供物料として、現金を包んで持参するほうがよいと思われます。その際、黄白や銀の水引の付いた不祝儀袋に「御仏前」「御花料」「御供物料」などと表書きし、下に姓名を書きます。
◆あとがき
四十九日法要までは慌ただしく時間が遇ぎていきますが、四十九日から以後一周忌までは、比較的時間に宗裕が持てるようになり、捌こも多少のゆとりが笠まれます。自分を見つめ直し、心を見つめるいいチャンスです。日々の供養を通じて、豊かで充実した日々を送りましょう。
−法要・覚えておきたいひとくち雑学−
◆百ヶ日忌
父母の孝義を重視する中国儒教の卒?忌を仏教が取り入れたもの。
◆祥月命日
毎年めぐってくる命日(忌日)のことで、故人が亡くなった日であるとともに、故人が仏に生まれ変わった誕生日だとも考えられています。
◆お彼岸
仏教には、西方浄土といって、西に極楽があるという考え方があります。春分の日、秋分の日には太陽が真東から出て、真西に沈みます。東西に太陽か没するところこそ、往生の願いをかなえてくれるところであるという考えから、これらの日と彼岸が結びついたとされています。
◆盂蘭盆会
釈迦の弟子であった日蓮が、死んで餓鬼道に落ちた母親を釈迦の教えによって、七月十五日に僧侶たちに食物を施し、供養することによっぞ救い出すことができたといういい伝えによるものです。つまり餓鬼道や地獄に落ちて苦しんぞいる霊を救うために供養を営むことをいいます。現在のお盆は、先祖の霊が帰ってくるという日本古来のいい伝えと、この孟蘭盆会が結びついたものであるとされています。
◆精霊
死者の霊魂をいいます。
◆棚経
精霊棚の前で僧侶にあげてもらうお経のことをいいます。
◆新盆(初盆)
四十九日の忌明け後初めて迎えるお盆のことをいいます。
◆精霊流し
お盆の十五日の夕方、または十六日の夕方、精霊棚や仏前に供見た供物や花などを川や海に流して、精霊を送ります。地方によっては灯寵を流すところもあります。