忌明けから一周忌まで。そしてそれ以後、法要という形で、死者、および先祖を供養することになります。仏壇へのお参り、墓参り、そして法事。そのなかで、知っておきたいこと、知らないといけないこと。また、これだけはやっておきたいことを列挙しました。
忌 服
◆忌服期間
一般には、仏教のしきたりにしたがって、忌の期間は、死後四十九日、服の期間(喪中)は一年とされています。
◆忌服期間にしてはいけないこと
結婚式などのめでたい席に臨むことや、神社に参拝することなどを控えるのが通例です。 喪中に年を越す(死後1年以内)場合は、しめ縄、門松、鏡餅などの正月の飾りをつけたり、おせち料理で祝ったり、年始まわり、年賀のあいさつなども控えます。
◆年賀欠礼の挨拶
喪中に新年を迎えた場合は、年賀状を出しません。例年年賀状を出していた相手に対しては、十二月のはじめに年賀欠礼の知らせを出します。喪中欠礼のハガキは、一種の死亡通知です。簡潔に書くべきですが、誰の喪に服しているかは必す書き入れるようにしましょう。
◆忌服中に近親者が死亡した時
忌服中に近親者が亡くなり、忌服が重なることを「重忌喪」といい、たとえば、父を亡くしてその忌期が終わらないうちに母が亡くなったという場合は、母の死亡日からあらたに次の忌服を重ねます。
◆近親者の死亡を後日知った場合
遠方にいる近親者が死亡したのをずっと後になって聞いた場合は、聞いて知った日から忌服期間を数えるようにします。これを「聞き喪」といいます。
◆忌明けにすること
仏式では、四十九日を過ぎると死者の霊がそ の家から離れるといい、この日を忌明けとしま す。神式でも五十日祭をこの日にあてていますが、キリスト教では忌明けといったものがありません。そこで香典返しとともに忌明けのあいさつ状を送ることが多いようです。
また、忌明けの日には、寺や自宅(神式では墓前)に親類や友人などを招いて手厚く故人の法要を営みます。なお香典返しや形見分けもこの日に行い、葬儀の際に神棚や額などに張った白紙も忌が開ければ取りはすし、仏壇の扉も開けます。また、それまでの遺骨とともに安置していた白木の位牌は寺に納め、塗りの位牌を仏壇に納めます。最近は四十九日を待たすに忌明けを行う家も多くなりました。
日常の供養の基本
◆仏壇とは
もともと仏壇は、信仰の対象としての本尊を安置するためのもの。たとえ先祖の位牌を一緒に祀ってあっても、それは付属的なものと考えるべきです。しかし、現在において仏壇に対する考え方は少し違ってきています。特定の宗派の信仰を持っていない人にとって、仏壇とは先祖代々の精霊を供養するための場所、そう考える人が多くなっています。現代人にとって仏壇は、自分が存在するルーツを祀る場所であり、家族全員の精神修養の場でもあるようです。
◆日常の供養で大切にしたいこと
仏教では、どんな行いにも心が必要不可欠です。このことをしっかり理解したうえで、一般的な日々の供義をしたいものです。供義とは、形に心が伴っていることが望ましく、形式に振り回されていては何にもなりません。仏前での作法の墓本中の基本は「合掌」の姿です。両手の手のひらを合わせ、日を静かに閉じ、ゆっくりと礼拝します。
◆日々の供養の仕方(基本的なものとして)
朝、起きて顔を洗い、食事の用意をして仏飯と湯茶のお初を仏壇に供えます。次にろうそくに火をともし、線香をあげます。仏壇に向かう時は背筋を伸ばして正座します。両手に数珠をかけて合掌礼拝し、各宗派で定められた称名や題日、真言などを唱え、簡単なお経を読みます。この時、むやみに鈴は打たないようにします。お勤めが終わったら、ろうそくの火を消します。夕方、床につく前にもう一度、合掌、礼拝を行い、使った火の始末を確かめてから、仏壇の扉を閉じます。
◆お供えの基本
「お供え」とは、本尊や故人に、心から捧げる供養物のことをいいます。お供えの基本は「香」「花」「灯明」「浄水」「飲食」の五つです。これを「五供」といいます。
仏前での礼拝の手順
- 仏壇の前に座る
- ローソク立てにローソクを立て、火をつける
- 線香に火をつけ、炎を手で消す
- 線香を立てる
- 鈴は読経の始まりに打ちます
- 手のひらを合わせて念珠をかける
- 経をあげる
- 読経のあと、ローソクの火を手であおいで消す