葬儀が終わると、その後始末をはじめ、あいさつまわり、書類関係の整理など、遺族には、数多くのやるべきことが待っています。ここには、葬儀が終わって初七日まで、これだけはやっておかなければならないというものを列挙しています。もちろん、各家庭の環境によってはいろいろな状況があるでしょうが、さしあたっての基本的なものをご紹介しています。
保険や年金の諸手続き
亡くなられた方が、生命保険や年金などに加入されていた場合には、各制度に基ついて、定額のお金が支払われます。加入していた種類の保険、または年金を調べ、支払い請求の手続きを早めに行いましょう。以下は、手続きに必要な事がらについてのご案内でございます。どうぞご参考になさってください。
◆厚生年金に加入されていた場合
亡くなられた方の年金は、扶義家族に「遺族厚生年金」として支払われます。その際、手続きに必要なものは
亡くなられた方の
- 保険証害または厚生年金手帳
- 印鑑
- 戸籍腔本
- 死亡診断書
- 亡くなられた方が在職中だった揚合は勤務先の総務担当者にお願いして、社会保険事務所へ手続きを代行していただく。
- 亡くなられた方が退職していた揚合は社会保険事務所で定められた手続きをとります。
- これらの権利は5年間を経過すると無効となるので注意して下さい。
◆国民年金に加入されていた揚合
亡くなられた方が国民年金に加入していた場合は、「遺族基礎年金」「寡婦年金釜」「死亡一時金」のいすれかが支給されます。遺族の方はこのうち一つを選び、役所の国民年金課で手続きをとってください。
遺族基礎年金
亡くなられた方の18才未満の子どもがいる家族に支払われる定額の年金です。
☆支払われる基準☆
保険料は、老齢基礎年金の資格期間を満たしていること。亡くなるまでに国民年金の加入期間の2/3以上支払っていることなどの条件があります。詳しくは各市町村の年金課へお問い合わせください。
◆ 生命保険に加入されていた揚合
☆生命保険の種類☆
- 各生命保険の「生命保険」
- 郵便局の「簡易保険」
- 勤務先で加入している「団体生命保険」
- 会社経営者や幹部のための「経営者保険」
※証書、領収書などを調べて、各保険金の手続きを行いましょう。
☆支払い請求の手続き☆
2力月以内に生命保険会社へ、被保険者氏名、死因、死亡月日などを連絡します。すると生命保険会社から「死亡保険金請求書」が送られてきます。各事項に記入し、必要な書類を添えて提出してください。
【手続き上必要な書類】
- 保険証書または保険の領収書(最終分)
- 死亡診断書
- 保険金受取人の印鑑証明
- 保険金受取人の戸籍抄本
- 被保険者の除籍抄本
☆住宅ローンの生命保険支払の確認☆
住宅ロ一ンは、現在、生命保険付きのものが一般的になっています。ローンを借りていた方が死亡された時は、その生命保険金で残りの借入金が支払われることになります。手続きの方法は、借り入れ先の金融機関へご相談ください。
◆共済年金に加入されていた揚合
亡くなられた方が、公務員、教員などの共済年金に加入されていた時、「遺族共済年金」が遺族に支払われます。 手続きは故人の勤務先などに依頼します。 年金の支払う手続きについては、その種類、加入期間、遺族の年や収入、扶養家族の人数などにより、手続きのしかたや支給額が異なりますので、前もって加入先にお問い合わせしていただくようにしたほうがいいでしょう。
遺言と遺言書
◆自筆証書遺言
- 全文を自分で書き、年月日、書名捺印が必要です。
- ノートや日記帳などに書いてあっても、上記の条件をそなえておれば遺言書として有効です。
- 文中加筆訂正した時は、「何字加入」「何字削除」と加除変更の箇所を明示してそこに 署名捺印します。書名捺印がないと、加除変更がなかったものとして扱われます。
◆公正証書遺言
公正証書遺書を作るには、公証人に遺言の内容を話し、公証人が遺書証書を作成します。 この場合、二人以上の証人が必要です。 もっとも確実な遺書方式ですが、公証人にすべての内容を知られるのが欠点です。
◆秘密証書遺言
- 秘密証書遺書は口述筆記でもよく、日付けの必要もありませんが、署名捺印が必要です。
- 遺言書を封書にしてなかの遺書書に用いたと同じ印で封印し、公証人に提出します。
- 自分の遺書であることと、遺言を書いたり、タイフに打った人が誰であるかを公証人に告げ、公証人が証人二人以上の立ち会いのもとに、封印のうえ、日付けと本人の遺言である旨を書きます。
- 遺書書の内容は秘密にできますが、公証人や証人の立ち会いが必要です。
◆公正証書遺言書の作成方法
- 公証人役場に、証人二人以上と出向く。ただし遺書者の状況(病気など)によっては公証人に自宅や病院に宋てもらうことができます。
- 遺言善が遺書の内容を公証人に口述します。
- 公証人がその口述を筆記し、これを遺言者および証人に読み聞かせます。
- 遺言書および証人が筆記の正確なことを承認した後、各自が書名押印する。遺書者が 病気などによって署名ができない時は、公証人がその理由を付記し、署名に代えます。
- 公証人がその証書を法律に定める手続きに従って作成されたものである旨を付記して、これに署名押印します。 ※公正証書遺書書の作成には二人以上の証人が必要です。
◆以下は証人になることができません。
- 未成年者
- 禁治産者または準禁治産者
- 推定相続人(遺言者の死亡により相続権のある者)および受遺書 (その遺言で財産を受ける者)
- (3)の者の配偶者および直系家族
- 公証人の配偶者・四親等以内の親族・書記および雇い人
◆生前に遺言書を預かった場合
できるだけ早く家庭裁判所に提出して、検認してもらわなければなりません。 封のしてあるものは、勝手に開封することはできません。
◆遺言書が二通以上ある揚合
遺言書が二通以上ある場合は、最後に作成されたものが有効です。それ以前のものは、その内容が最後の遺言と両立しうる範囲で有効になります。
◆遺言がなかった場合
- 第1順位 死者(被相続人)の配偶者が1/2、子(または孫が代襲)が残りの1/2(子が数人いる時は均分)を相続します。
- 第2順位 被相続人に子がいない場合は、配偶者が2/3、被相続人の親が1/3を相続します。
- 第3順位 被相続人に子も親もいない場合は、配偶者が3/4、兄兼姉妹が1/4(数人いる時は均分)を相続します。
※配偶者がいない場合は、子(数人いる時は均分)がすべてを相続します。 また配偶者も子もいない場合は、親(数人いる時は均分)が相続します。 配偶者も子も親もいない場合は、兄弟姉妹(数人いる時は均分)が相続します。
◆法定相続人に対する遺留分
- 遺書書では、全財産についての処分を決めてもいいし、一部分について決めてもかまいません。
- 被相続人(遺書者)が遺書でどのように遺産の処分を決めたとしても、法定柑続人には必すある割合の財産を相続できる権利があり、これを遺留分といいます。
- 遺留分の割合は、相続人が配偶者と子または孫の場合、被相続人の財産の1/2です。父母だけの場合は被相続人の財産の1/3です。
- 兄弟姉妹が相続人である場合には遺留分はありません。
◆全財産を一人に相続させたい時
特定の一人たとえば妻に全財産を残したいと思う場合は、遺書には「全財産を妻に与える」と書いておいても、子たちには「遺留分減殺請求権」があり、これは相続開始 後一年間は行使できます。全財産が完全に妻のものになるようにするには、他の相続人にあらかじめ遺留分放棄(遺留分減殺請求権の放棄)をさせておくことが必要です。その手続きとしては、放棄する法定相続人(この場合は子)から、家庭裁判所に遺留分の放棄許可申請をし、放棄を許可するという審判を受けます。